住宅用のアパート・マンションの建築費に含まれる消費税が還付されない場合
公開日:2013/2/26 更新日:2017/6/23
免税事業者の場合
消費税の納税義務がない者(免税事業者)は消費税の還付を受けるための確定申告書を提出することができませんので、消費税の還付を受けることはできません。ただし、消費税の還付を受けるためにあえて課税事業者選択届出書を提出し、課税事業者となれば、消費税の還付を受けることができます。(この場合2年間は継続しなければ免税事業者には戻れません)
簡易課税を選択している場合
建物を建築した年(課税期間)に簡易課税を適用している場合には、建築費に含まれる消費税を課税売上に含まれる消費税から控除して還付を受けることはできません。簡易課税を選択している場合に、課税売上に含まれる消費税から控除できる金額は、課税売上に含まれる消費税にその営む業種によって定められている一定の割合(不動産賃貸業の場合40%)を乗じて計算した金額だけで、実額である建築費に含まれている消費税を控除することはできません。
「課税売上割合が95%以上かつ課税売上高が5億円以下の場合」以外の場合
すべての売上高のうちに課税売上高の占める割合を課税売上割合といいます。この課税売上割合が95%以上かつ課税売上高が5億円以下の場合は、支出した消費税の全額を課税売上に含まれる消費税から控除することができます。ところがそれ以外の場合には、売上に含まれる消費税から控除できる消費税は、支出した消費税にこの課税売上割合を乗じた金額か、課税売上に直接対応する支出に含まれる消費税額のどちらか大きい金額までです。
したがって住宅用のアパート・マンション経営の場合、住宅の貸付収入は消費税の非課税売上となり、課税売上割合が低くなり、建築費に含まれる消費税が全額控除されないため、建築の際支払った消費税の還付が少なくなったり又は全く還付を受けられないことになります。
事例計算1:貸事務所だけのマンションを経営する場合
【1】家賃収入 | 年間 5,400万円 このうち売上に含まれる消費税400万円 |
---|---|
【2】建築費 | 2億1,600万円 このうち支払った消費税 1,600万円 |
【3】還付を受ける消費税 | 【1】-【2】=△1,200万円 (課税事業者を選択する必要あり) |
事例計算2:住宅10室のマンションを経営する場合
【1】家賃収入 | 年間 5,400万円 このうち売上に含まれる消費税0万円 |
---|---|
【2】建築費 | 2億1,600万円 このうち支払った消費税 1,600万円 |
【3】課税売上割合 | 0%<95% |
【4】売上から控除できる消費税 | 1,600万円×0%=0円 |
【5】還付される消費税 | 0円-0円=0円 |
上記の事例を比較するとよくわかりますが、建築費に含まれる消費税1,600万円のうち還付される金額は事例1の場合1,200万円、事例2の場合0円です。全く同規模のマンションでも用途が違うだけで還付金額にこれだけの差が出てしまいました。
東京シティの相続職人です
相続税のプロの評価は次の3つ
- 相続の分割に未来を語れる
- 不動産の評価方法に秘策がある
- 名義株・名義預金の判定に経験豊富
税理士指名ですぐお電話下さい
03-3344-3301
土曜日は当番税理士が在席の時は対応できます。
受付時間:9:00~18:00 月曜日~金曜日
税理士による無料相談 毎日受付中

税金に関するお悩みは早めに解消するのが得策です

- 住宅を売却して税金が心配だ
- 住宅の売却や買い替えで失敗したくない
- 所有している土地が市の道路に収用された
- 生前贈与をしたほうがいいのか知りたい
- 相続争いがないように準備したい
- 相続税の予定額が知りたい
- 金融機関から相続税対策の提案を受けたが、有利なのか意見を聞きたい
免責事項
- 当コラムは、情報提供を目的として税理士法人東京シティ税理士事務所(以下「当社が」)作成したものであり、節税対策実施の強制や勧誘を目的にしたものではありません。
- 当社掲載内容の正確性に努めておりますが、その正確性・完全性を保証するものではありません。当サイトの情報をご利用した際に生じた損失につきましては、一切の責任を負いません。
- 当社の判断により掲載内容の一部あるいは全てを予告なく修正・削除する場合があります。
- 当サイトのご利用にあたっては、ご利用者の自己責任をもってご覧いただくものとします。
その他の『消費税』に関連するページ
- その他の届出書‥適用を受ける場合に必要となる提出書類として下記のものがあります。
- 還付を早く受けるために・・・・「消費税課税期間特例選択・変更届出書」
- 還付申告書を提出するために・・・「消費税課税事業者選択届出書」
- 消費税は届出書が重要
- 家賃収入に消費税を加算して請求できるの?
- 住宅用のアパート・マンションの建築費に含まれる消費税が還付されない場合
- 建物に8%の消費税
- オフィスビルの建物部分と敷地部分を区分して収受した場合、敷地部分の収入は非課税になる?
- 住宅と事業用に兼用できるとして貸し付けた場合の家賃収入の取扱い
- 住宅の貸付であったものを入居者が契約を変更しないで勝手に事務所として使用した場合
お役立ち情報
生活者税金相談室
生活者の知恵税金はそんな給与所得者のための応援ページです。
- 生活者税金相談室
※平成29年4月税制改正対応
マイホーム税金相談室
マイホームの購入や売却でお悩みの方やマイホームを扱う不動産業者の方のお役に立つページです。
- マイホーム税金相談室
※平成29年4月税制改正対応
個人事業者相談室
開業の手続きから帳簿作成、そして税務の申告まで個人事業経営のノウハウ満載ページです。
- 個人事業者相談室
※平成29年4月税制改正対応
アパート・マンション税金相談室
アパート・マンションの経営者や不動産業に従事する方に有益で正確な知識を提供し、円滑なアパート・マンション経営のお役に立つことを目的としたページです。
- アパート・マンション税金相談室
※平成29年4月税制改正対応
相続税・遺言
相続税は皆さんにかかる税金です。相続により大切な財産が次の世代に継承されます。より多くの財産を円滑に次の世代に引き継ぎたいものです。
- 相続税の仕組みと基礎知識
- 遺言相談所
※平成29年4月税制改正対応
お知らせお知らせ一覧
- 2018年08月24日
- 2018年10月9日(火)に事務所を移転いたします
- 2018年04月27日
- 鑑定のひろば JAREA 2018年4月刊行【202号】
- 2018年04月01日
- 東京賃貸住宅新聞 №213 平成30年4月1日号
- 2018年03月11日
- Real Partner 2018年3月号 2018年3月10日発行 通巻第474号
- 2018年01月20日
- 鑑定のひろば JAREA 2018年1月刊行【201号】
セミナー情報セミナー一覧
- 2018年06月25日
- 2018年06月25日 相続後の知っておきたい税の知識セミナーで、税理士村岡清樹が講師を務めました。
- 2018年06月18日
- 2018年06月18日 税制改正セミナーで、税理士剱持嘉宏が講師を務めました。
- 2018年06月08日
- 2018年06月08日 税制改正セミナーで、税理士石井力が講師を務めました。
- 2018年05月27日
- 2018年05月27日 子どもに負担をかけない二次相続対策セミナーで、税理士剱持嘉宏が講師を務めました。
- 2018年05月26日
- 2018年05月26日 実家の土地活用と相続の準備セミナーで、税理士剱持嘉宏が講師を務めました。
※このサイトのコンテンツは税法を簡易な表現・計算にして記載しています。
具体的な取引での適用を保証するものではありません。
取引等への適用を確実とするためには、税務申告を依頼する税理士等へご確認ください。